ペルシャ絨毯協同組合 Persian Carpet Association in Japan

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連載コラム/Column:素晴らしきペルシャ絨毯の世界

第4回:ペルシャ絨毯の産地と種類 〜クム〜
イラン第二の聖地は高級シルク絨毯の産地

 ペルシャ絨毯の代表的な産地を紹介する2回目は、クムをご紹介しましょう。クムのスペルはGhom(Qum)ですが、日本語表記をするとコム、ゴム、そしてゴームと書かれることもあります。

 クムはテヘランの南約135kmに位置し、テヘランからは車で3時間ほどで、前回ご紹介したイスファハンに行く途中にある町です。クム州の州都でもあるこの町は、イスラム教の始祖マホメットの娘ファティマを安置したハズラテ・マスーメの霊廟があり、マシャッドに次ぐイラン第二の聖地として有名です。古くから学問の地として栄え、現在でも市内に300にのぼるモスクとマッドロッセと呼ばれる教学院が残り、この町を訪れた人は、頭にターバンを巻いた独特の服装の聖職者を目にする機会が多いでしょう。


熱心な巡礼者たちが訪れるハズラテ・マスーメ

エマムザデのモスクの豪華な天蓋 ハズラテ・アマスーメの聖域には国内外から熱心な巡礼者が訪れる 黄金のタマネギ型のドームが輝きを放つハズラテ・アマスーメの本廟
クムの近郊には荒涼とした砂漠が続く 旅人たちの宿泊施設だったカルヴァンサラ・ガムルード カルヴァンサラエ・ディアガッチの遺跡

 町の近郊は、塩分のきつい砂漠(塩湖)が取り囲んでいます。そのため緑も少なく、景色を楽しむ観光に適しているとはいえませんが、この町の特徴は聖地としての独特な雰囲気にあります。国内はもとより、近隣諸国からも熱心な巡礼者が訪れ、他の町では感じることのできない独特な空気が漂っているのです。その中心となるのが、ハズラテ・マスーメの聖域で、黄金のタマネギ型のドームを持つ本廟が厳かな輝きを放っています。霊廟の門前では、巡礼者たちが足を止めて礼を捧げる姿が見られます。ここから時計塔があるモタッハリー広場にかけての一帯が町の機能が集中した繁華街です。


新興の産地が世界的に有名にした“クムシルク”

 クムの絨毯の特徴は、なんといってもシルクです。絹の産地としても有名なこの地では、現在では作られるほとんどの絨毯が100%シルク製で、「クムシルク」というように、クムとシルクはまるでイコールのように呼ばれ、高級ペルシャ絨毯の代名詞として、日本人にも広く知られています。また、イスファハンやカシャーンのデザインを巧みに取り入れ、新しい創作柄にも意欲的に取り組んでいます。また、パステルカラーを基調とした独特の色彩感覚のものが多くみられます。

 クムの絨毯の歴史は1930年ほどからと比較的浅く、シルク絨毯を織るようになってからはまだ80年ほどしか経っていません。それが急速に発展を遂げたのは、まさに「後進国の優位性」といえるでしょう。新興の産地であるため、受け継がなければいけない伝統がないため、それに囚われることなく斬新なデザインに取り組み、他の産地の技術を積極的に取り入れたのです。さらには、日本をはじめとしたペルシャ絨毯を輸入する国の好みを受け入れた柔軟な製作が、顧客の需要を高めてきたといえるでしょう。滑らかな肌触りと艶やかな光沢を持つ高級素材として定着したシルク絨毯は、日本だけではなく、アジア、ヨーロッパなどでもとても価値の高いものとして認められ、信頼と人気を集めています。

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